三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 航空機・飛昇体事業部 航空機技術部
渡邊 徹さん(CSEP)
Q1. SEをどのように勉強してきましたか?
私はこれまで10年以上、民間航空機の開発に携わり、その中で、要求の定義から実装、検証、認証といった開発に必要となる一連の作業を、SAE ARP4754という開発プロセスに関する規定に沿って実施してきました。
また、開発に携わる前は、民間航空機の運用者として、新造機の受領検査から導入後の整備、運航のサポートを経験してきました。
これらの経験を通して、システムズエンジニアリング(SE)で求められる要求定義から運用、整備といった技術プロセス全体、および形態管理や品質保証といった技術管理プロセスの両方を実践しながら学ぶことができました。
当時はSEという考え方を知りませんでしたが、自分が経験したことをより深く体系だって勉強したいと思っていたところ、INCOSEという団体やSEに関する資格(ASEP、CSEP、ESEP)があることを知りました。
私は5年以上のSEの経験がありましたので、CSEPを取得しましたが、勉強方法としては、SEPの試験に対応したインターネットサービス等を活用しながら、SEハンドブックを読み込み、これまでの経験と照らし合わせながら重要と思われる点を中心に覚えました。
Q2. SEを学んでどんなメリットを実感しましたか?
これまで実践してきた業務に対して、改めて、あるべきプロセスを理解することができ、過去の実務の経験の中でどういった観点が漏れていたのか、次のプロジェクトに携わるとしたらどういった点に、より注力すべきか、といった点に関して多くの気づきがあり、SEの勉強は非常に参考となりました。
また、周りに開発のあるべき姿を説明する際に、経験に基づいた説明に加えて、CSEPを取得した上で体系だって説明することで、より説得力を持って、周りも納得感を持って聞いてくれるようになったのも、メリットの一つだと感じます。
一方、実際のプロジェクトでは、教科書通りにいかないことが多くあり、様々な制約事項が存在します。特に、より複雑で大規模なシステムオブシステムズの開発では、関与するステークホルダーも多岐に渡り、要求も膨大となります。
今後求められるのは、SEの知識をベースとして、よりデジタルの力を用いた、例えば、Digital EngineeringやMBSEといった手法も取り入れることが重要だと考えます。欧米、特に米国では、産官学一体となってこの分野が非常に進んでいる印象です。世界の潮流から後れを取らないためにも、引き続き企業の枠を超えて、SEの普及やデジタル化について取り組んでいきたいと思います。